C型肝炎について

C型肝炎とは?

C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)の感染によって起こる肝臓の病気です。
HCVに感染すると、感染者のうち約70%の方が肝炎ウイルスを保持することとなり(残りの約30%の方は、自然にウイルスが体外に排除されます)その後、以下の「C型肝炎の経過」で述べるように慢性肝炎、肝硬変、肝がんと病態が進行していく可能性があります。肝炎になっても自覚症状はほとんどないため、病態の悪化に気づかないことも多いようです。

病態が悪化していく進度については個人差がありますが、60歳を超えると肝がんになる確率が高くなります。これら慢性肝炎、肝硬変、肝がん患者の75%がHCV感染者と言われており、HCV感染者は大きな割合を占めています。現在日本では約150万〜200万人のHCV感染者がいると考えられています。

C型肝炎の経過

C型肝炎ウイルスに感染した場合、2~14週間の潜伏期間を経て急性肝炎を起こすことがありますが、発症比率でみると、急性肝炎を起こすケースは少ないと言われています。
このC型肝炎ウイルス感染者のうち、60~80%の患者さんが慢性肝炎に進行すると言われており、また、慢性肝炎になった患者さんのうち、約30~40%の患者さんが約20年の経過で肝硬変に進行すると言われ、さらに肝硬変の患者さんは、年率約7%の頻度で肝癌が合併すると言われています。

肝硬変になった患者さんは、食道静脈瘤を合併することも多く、破裂すると身体にとって危険な状態となります。また、肝硬変や肝癌が末期状態に進行すると肝不全状態となって黄疸や腹水貯留、意識障害が生じる事態ともなり、このような状態も身体にとって危険な状態です。

このように病状が進行すると深刻な事態となってしまいますが、早期に適切な治療ができれば、C型肝炎は完治可能な病態ですので、早期治療を実施するために、感染の早期発見が重要となります。


感染経路は?

C型肝炎ウイルスは感染者の血液を介して感染しますが、実際に感染した患者さんの約半数の感染源は不明と言われています。
実際に感染経路が判明したケースでは、血液製剤が原因となったこともありました(薬害肝炎訴訟)。また、輸血や、臓器移植、適切な消毒をしない器具を使っての医療行為、刺青、ピアスの穴あけ、覚せい剤の回し打ち等、血液を介する場合に感染の危険性が生じます。他方で、出産や性交渉の際の感染の可能性は極めて低いと言われていますが、まれに感染するともいわれています。

豆知識

C型肝炎について
C型肝炎について、経口のみでウイルスを体外へ排除できる薬が日本でも使えるようになりました。極めて画期的な治療法が開発されたと言えます。これによりC型肝炎は完治すると期待され、今後、C型肝炎の患者さんは大幅に減少していくことも期待されます。C型肝炎の早期治療を実現するため、今まで検査されたことのない方は、早期に検診に行きましょう。

しかしながら、日常生活では、他人の血液に直接触れることが少ないため、日常生活で感染するおそれはとても低いと言えるでしょう。
近年の新規感染者は若年者が多く、覚せい剤等の注射の回し打ちや入れ墨(タトゥー)やピアス等の針の使いまわしによるものと推測されており、注意が必要です。
C型肝炎は、感染を予防するワクチンがありません。他人の血液に触れないことが感染防止において重要です。